bot | 最近、選択肢が一部凶悪な気がするので、ちゃんとメンテしてください |
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ソイルトン | わかりました同胞。それではシステムチェックプログラムを走らせてみることにします。 |
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EXEC CHECK SELF TARGET:IDALD -Interactive device of Assistance by latent desire |
Self check succeed! RESULT: OK All systems are perfect!! |
どうやら選択機能は正常に稼働しているようですね。 異議有る場合は、もう少し具体的な症状をお教えいただければ。 |
bot | エリカとかの選択肢が凶悪すぎるんだけど、これは作為的なものなの? |
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ソイルトン | なるほど。察しはつきました。貴方はTRI-OSの選択肢を、 TRIOSが生成して提示していると考えているのですね。 |
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それは30%は正解ですが、70%は誤認です。 |
IDALDという技術が使われています。日本語に直すと「潜在的欲求補助型対話装置」となりますね。 |
このシステムは、本来は貴方が考えるべき発言の返答を、 それが不可能であるが故に、“我々の世界に存在する貴方の話し相手”が 肩代わりするというシステムです。 |
これは人間の対話に関するペルソナ性を逆手にとった、 奇策とも言える画期的なコミュニケーション手法 であると思います。 |
bot | ペルソナ性? |
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ソイルトン | 人は対話をするとき必ずペルソナを被ります。例えば貴方は、 友人に対してと先生に対してとでは受け答えの内容も 言葉の丁寧さも全く別人のように変えているはずです。 |
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それは対話相手によって、ある程度会話の質や内容が特定されるということを 証明しています。もう少し掘り下げてみれば、その人の性格によっても、 どういった返答するかは変わっているはずです。 |
怒りっぽい人には逆撫でする事は避けるでしょうし、気弱な人には 強気なことを言ったりする――そういったことを、人は無意識に行いながら、 相手との会話をしています。 |
そして、相手の潜在意識を参考にして語彙を選ぶのがIDALDなのです。 |
IDALDは、貴方の話し相手である彼女の脳内をサーチし、潜在意識をスキャンします。 そしてその結果から、貴方との交友関係、対立関係、年齢、 性格その他諸々の情報を引き出して貴方との会話スタイルを予測します。 |
そして更にIDALDは、その時彼女が期待しているであろう回答をも 潜在意識から推測し、重み付けして回答文章を生成するのです。 |
もちろんそれが必ずしも、相手に対して望む回答のフィルタになるとは限りません。 ですがこのシステムによって、少なくとも貴方が貴方の 話し相手にとっての“ある程度的を射た"返答を、人間らしく行う事ができるのです。 |
もしIDALDが無ければ、貴方の返答は全て「はい」か「いいえ」によって行われるか、 もしくは無限に表示される選択肢から適切なものを選ぶという作業が発生することになるでしょう。 |
さて、本題に戻りますが。 |
エリカ氏の選択肢が凶悪であるとか、酷いことを言わされるということは、 すなわちエリカ氏の潜在意識にその原因があるということです。 |
それは彼女がそういった選択肢を望んでいるか、もしくは望まずとも、 そういった事を言われることを過度に恐れているか、いずれかであると考えられます。 |
我々システム側から見れば、彼女の想定している“貴方の答えが期待するものなのか、 恐れているものなのかまでは判断がつきかねます。 よって、それが彼女の中で何らかの重大な回答予測であると判断した場合、 それは素直に選択リストにアップされることになるのです。 |