アースタシア | ぴょんこは卯月神楽単独の人格ではありません。 |
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卯月美佐子とのハイブリッド人格、それはすなわち―― |
今、私と卯月美佐子のココロが繋がってる故に存在出来る人格です。 |
単独の人格である0xとも、半プログラムの1xとも違う、生身2名の融合。 |
それがぴょんこであり、所属としては2xと呼ばれるものになります。 |
そんな彼女が置かれている状況に、今大変な変革が訪れています。 |
卯月神楽の記憶の中から、卯月美佐子との繋がりを示唆する所が消えました。 |
客観的事実はどうであれ、ココロを平穏にし、崩壊を免れるためには―― |
何らかの解釈によるココロの構造改革をせねばなりません。 |
その構造改革では、必然的に卯月美佐子との繋がりは否定されます。 |
自分 | でも、美佐子さんと繋がっているという事実は否定できないでしょ? |
アースタシア | もちろん、客観的に見ればそれは事実であり正しい。 |
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ですが、ココロという物はどんなに客観視しても、必ず主観視になります。 |
なぜなら、誰であろうと今までの経験や記憶がその基準となるからです。 |
例えば、考えてみてください。 |
貴方に結婚した記憶がないのに、中指にリングをはめていたとしましょう。 |
貴方はどう考えますか? |
特に深く考えず、寝ぼけて適当に付けたのでは? とか―― |
飲み会で酔った拍子に誰かの指輪を付けてそのままなのでは、とか。 |
その場で考え得る常識的な解釈で心の安定をとります。 |
そうしないと、ココロが不安定なままで、いずれ崩壊するからです。 |
実際は1年前に結婚していて、その期間の記憶を失っているとしても―― |
貴方はそれを肯定することはできないでしょう。 |
同様に、卯月美佐子と繋がっていたという事実は否定せねばなりません。 |
そうしないと、そこからココロが崩壊しかねないからです。 |
私はぴょんこの消滅は免れないだろうと考えましたが―― |
月神楽は、彼女を管理した上で生かすという選択をしたのです。 |
自分 | もしかして月神楽って、すごく優しい子なのでは? |
月神楽 | 今頃気づいたんですか? もー、遅すぎですよ? |
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ぴょんこ | 呪いの実験台に家無しの人格が一匹、欲しかっただけですよね? |
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自分 | えっ |
月神楽 | まさかそんな~~。 |
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あれは、ちょっとしたジョークですよっ♪ |
自分 | それで、ぴょんこは逃げ出してきたの? |
ぴょんこ | あ、いえ、それはまた別の理由で…。 |
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